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16.憑依
俺たちは岩手県平泉から神奈川県鎌倉市までマラソンをすることにした。5百㎞以上はあるかもしれない…。
しかし そうは言ったものの…甘くはないっ!とにかく夕方から暗くなるのが早い!ネオンもないしね…。じゃり道に坂道、虫はいるし、ヘトヘトでした…。
結局、野獣タクシーを頼んだ。野獣タクシーとはひょうで足が速い。体がきつい時のお金は有難い。シマウマ様に感謝した。
やがて俺たちは由比ヶ浜に到着した。
『おぎゃぁ…おぎゃぁ…』
「あっ あそこ!」
藁に縛られた赤ちゃんを、カバ家来がボートから落とそうとする瞬間だった。
「急げ!」
「大丈夫か?紬頑張れ」
「…ぐぇっ」
赤ちゃんの鳴き声が徐々に小さくなって行く…。
「ダメ…殿~死んではなりませぬ。シズカは…はつるときは…殿の…おそばで…」
俺はハッとした。
紬に…静御前様が乗り移った気がした。
「この恨み…いつか果たして…信ぜようぞ」
大和もそんな言葉が口から出てきた。紬と俺の手が 赤子の手に触れた時だった。
「あぁーっ!」
「きゃー」
俺たちはグルグル渦巻く暗闇の中を漂った。フワフワと宙に体が浮いてるような感触だった。
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