4.ダブルス練習

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4.ダブルス練習

部活では、いかに短い時間に上達するかを考え、試合形式で毎回練習を行う。負けると課題が浮き彫りになるからだ。 俺はたまに女子の練習風景を見る。癖や伸び代を探して適度なアドバイスもする。 おっ 今日は 変り者同士の対戦か。 今日の御前(おんまえ)の対戦相手は…小太りで大根のように白い手足の(なだ)君か。 見た目によらず、複雑なサーブが持ち味で、人の心理を見透かしたような陰湿なひねり玉を打ち込んでくる。 右に左に相手の足を動かし疲労させ、ネット際スレスレ、サイドギリギリの玉を自在に操り、最後にゆっくり仕留める手法は、まさにヘビ大魔王だ。 …ほら、とうとうラケットを台に投げ出してしまったぞ。 それをみた灘君は、勝ち誇った将軍のようにニタリと笑って、その首をいつ斬ろうかなんて、考えているかのようだ。 …ふふ お似合いのペアかもな。
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