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8.ガム
牛若は、11才の頃、鞍馬寺に預けられた…出家を嫌い1174年16才で奥州の平泉 藤原秀衡を頼った筈だ。
とすると、ここは、京から平泉(岩手県)へ馬や牛、山羊、など二百頭を引き連れ、金売りと評判の商売上手なお代官の荷駄隊一行というわけなのか。旅の途中だ。
義経ライオン様は、俺らの洋服に度肝を抜いているようだ。そりゃそうだ。中学のユニフォーム姿だからな。
「牛若丸様 私どもこの国に興味を持ったもの…決して怪しいものではござりませぬ。」
「…うむ。見た目といい違う国から飛んできたような不思議な者どもじゃ。盗賊ではなかろう…。」
「一緒にお供させて頂きたく存じます」
お代官キツネ様と義経ライオン様と、どうしようかまだ決めかねている。
「えーと、あの お近づきの印に、ガムがありますが召し上がりますか?」
「ガムなるものとは?」
金持ちのお代官キツネ様が興味深く聞いてきた。
「これは お口の匂いなどをとるための甘いお菓子でーす。デートの前のエチケットというか。はいどうぞ!」
「エチケットにデートなるものは…」
「しかし、変わったおなごじゃ。」
と言いながらも、御前はみんなに、ガムを配っている。
「決して飲み込まないでくださいね。ずっと噛み締めてください。こうやって…こうやって…」
「おーこれは美味じゃのう。」
「あ あと汗拭きシートもありますよ。」
御前はポケットにあるもの全てを、半ば強制にあげている。空気を読まない女だが、お陰で信用してくれたのか、俺たちを旅のお供にしてくださった。
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