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手紙
子供の頃、夏になるとお婆ちゃんの家に行くのが毎年の恒例だった。
周りは見渡す限り、山と田園風景が広がるばかりで、都会に住む僕からすれば本当に何もない田舎の小さな村で。
そんな退屈から連れ出してくれたのはいつだってキミだった。
毎日、泥だらけになってお母さんに怒られた事も、お父さんに冷やかされた事も、今となっては良い思い出。
キミと逢えなくなって、気付けば僕も大人になって。
幼かった僕はあの頃の自分の気持ちが良く分かってなかったけれど、きっとそう言う事なんだと思う。
キミから届いた手紙を懐かしみながら、僕は初めてキミに向けて筆を取った。
真っ新な便箋に書き慣れない名前と、ありがとう、そしておめでとうの気持ちをありったけ込めて。
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