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真っ白なシッポでリズムをとりながら
猫のニャンコは自分のお金で買った星
『コニャァック星』で数をかぞえていました。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、・・・、
ん〜、やっぱり足りないわね〜」
ここは、宝石のように輝く赤い色やまろやかな琥珀色に光るワインが横になって眠っている、木で出来た二階建ての大きな樽型冷蔵庫の中。
ワインはニャンコの会社の大切な品物たち。
そう、ニャンコは会社社長。
でも最近、その品物たちがちょっとずつだけどなくなっているのです。
はじめは棚に置かれていた2本。
「お友達にあげたかな〜?」
次に籐籠の中の6本。
「お家に持って帰ったかな〜?」
さらにケースごと12本。
「あれあれ、これはおかしいわ」
いつの間にか棚のあちこちが穴の開いたように抜けているのです。
「もしやこれは泥棒のしわざでは!
私の大切なワインを守るために何か良い方法をみつけないと!」
そこへ話を聞きつけた弟のミミーが
やってきて
「ねぇ、こんなアイディアはいかがかな?」
とニャンコの耳にそっとささやきました。
「それはいいアイディアね!」
ニャンコとミミーはさっそく『雲の上の市場』へ行くことにしました。
雲の上市場は空にもくもくと並び、雲と雲の間からは大小さまざまな滝が流れていて、水しぶきから出来た虹の道が地上まで降りています。
虹のふもとにいるムカデタクシーのワンガさんは今日もニャンコとミミーを乗せて元気に前足50本で軽やかに後ろ足50本で速度を上げてさっさかと市場へ向かいます。
「そおりゃあー!しっかりつかまっててくださいよー!」
右へ左へザッザカザッザカ。100本の足音が軽快に響きます。
「あわわわ。真っ直ぐ進んで下さいね〜」
「いたたた。頭がぶつかっちゃいますよ〜」
そんな2匹のことはおかまいなしにワンガさんは蛇行運転で進んで行きました。
雲の上はいつも真夜中。たくさんのお店が軒を連ね、色とりどりの電飾がキラキラピカピカと光り輝いています。
市場にはいろんな星のいろんなものが売られています。
ゾウのパインさんが売っている、鼻に棒を挿して豆を飛ばす『鼻から豆鉄砲』やキリンのヨシアさんが売っている、首に輪っかをどんどんつけてからのぞく『遠くが見える望遠鏡』やフクロウのヤコブさんが売っている、夜の暗闇でも小さなものが見える『明るく照らして老眼鏡』などなど、さまざまなアイテムがところせましとありました。
でもどれもニャンコとミミーがほしかったものではありません。
「ほしいものがないね〜〜」
「ないね〜」
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