よろこびのワイン

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どんどん歩いて行くと市場のはずれにぽつんとたたずむ緑色の屋根のお店が見えました。 そこには大きく『びっくり!伸びたり縮んだりするヒモ』と書かれた看板がありました。2人はそれを見て「これだ!」と叫びました。 そこはヘビのカエサルさんのお店で、カエサルさんは大きな緑色の目で2人を見つめ、広く裂けた口からは小さくて真っ赤な舌をニョロリと出していました。 2人はドキッとしたけれどおそるおそるそのお店の中に入って小さな声で 「そのヒモをください」 とお願いしました。 カエサルさんは床から天井まで伸びている大きな柱をするすると降りて来てヒモをニャンコの手のひらへ乗せて 「12コニャァックだよ」 とニヤリと笑いました。 2人はお金を払い、いちもくさんにお店を飛び出して行きました。 「こわかったね〜」と、ニャンコ。 「本当にこわかったね〜」と、ミミー。 でも欲しかったヒモが手に入ったので急いで樽型(たるがた)冷蔵庫のワイン室へ戻ってヒモを右端と左端にある大きくて高い柱にくくりつけてピンと張りました。 「これで大丈夫!夜中に泥棒が来たらこれに引っかかって転んでいるはずだよ!」 2人は冷蔵庫の2階にある見晴らしのいい展望台で星を眺めながらワインで乾杯をしました。 次の日。 2人はワイン室で泥棒が転がっているだろうとクスクスと笑いながらヒモの張った柱へ行ってみると、なんとヒモは昨日の倍ぐらいに伸びていて縄跳びのようにだらんと床に垂れ下がっていました。 あぁ!そうだった! そういえばこのヒモは『伸びたり縮んだりするヒモ』だった! 弟のミミーはがっくりと肩を落としました。 「仕方ない、もう一度市場へ行って違うものを探そう」 ニャンコは落ち込んでいる弟をはげましてまた市場へ向かいました。
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