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市場は昨日とは違うお店が出ていて、いろいろな星のいろいろなものが売られていました。アリクイのモニカさんが売っている、色が黒くなってから働き出す「どんな隙間でも掃除する小さな働きもの」や白くまのマーゴットさんが売っている、黒い毛皮を真っ白に洗い上げる「無垢な漂白剤」や馬のホワンさんが売っている、靴底に鉄板を打ち込んだ「たまに優勝する靴」
でもどれもニャンコたちが欲しかったものではありませんでした。
「ほしいものが、ないね〜」
「ないね〜」
てくてくと歩いて行くと市場のはずれにぽつんとたたずむオレンジ色の屋根のお店が見えました。そこには大きく『おどろき!開いたり閉じたりするアミ』と書かれた看板がありました。2人はそれを見て「これだ!」と叫びました。
そこはクモのエカテリーナさんのお店で、エカテリーナさんはオレンジ色の四つの目で2人を見つめ、黄色と黒色のしましまのおしりから糸を出していました。
2人はドキッとしたけれどおそるおそるそのお店の中に入って
小さな声で
「そのアミをください」
とお願いしました。エカテリーナさんは天井に張られた大きな白色のクモの巣からするすると降りて来てアミをニャンコの手のひらへ乗せて
「13コニャァックよ」
と、ニンマリと笑いました。
2人はお金を払い、いちもくさんにお店を飛び出して行きました。
「こわかったね〜」とニャンコ。
「本当にこわかったね〜」とミミー。
でもほしかったアミが手に入ったので急いで樽型冷蔵庫のワイン室へ戻って天井に傘のように広げてピンと張りました。
「これで大丈夫!夜中に泥棒が来たらこれに引っかかって捕まっているはずだよ」
2人は冷蔵庫の屋上にある露天風呂で月を見ながらワインで乾杯をしました。
次の日。
2人はワイン室で泥棒が捕まっているだろうとフフフと笑いながらアミの張っている天井を見てみると、なんとアミはしっかりと閉じて一本の棒のようになっていました。
あぁ、そうだった!
そういえばこのアミは『開いたり閉じたりするアミ』だった!
今度は姉のニャンコががっくりと肩を落としました。
「どうして私たちはこんなにも忘れんぼうなんだろう」
コンコンコン
外から戸をたたく音がして、ぎぃっと大きな木の扉が開きました。
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