ミカちゃん

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 僕がまだ六歳の時、小学校に入学したばかりの頃。  当時の僕はとにかく人見知りが激しくて。  周りではどんどん友達のグループが作られる中で、僕はなかなかクラスに馴染む事が出来ずに焦燥感に駆られていたんだ。  そんなある日の放課後、集団下校の輪にも入って行けず、裏道を使って一人で帰っていた時の事。  背後からふと声を掛けられた。 「こんなとこでなにしてるの?」  そこに居たのは同い年くらいの女の子。  腰まで伸びた綺麗な黒髪に大きくてつぶらな瞳が印象的だった。 「・・・ともだち、いないから」  それだけ聞くと女の子はにこりと笑う。 「じゃあミカとおともだちになって!」  そのまま僕の腕を掴むと、彼女は勢い良く走り出した。  いきなりの事で、彼女のその強引さに驚いたけど、不思議と嫌な気はしなかった。  そして、彼女は後ろを振り返る事なくひたすら走る、走る、走る。  腕を引っ張られる僕はその速さに付いて行くのがやっとで、もつれそうになる足を何とか前へ前へと送り出す。 「ね、ねぇ! ミカちゃん‼︎ どこまで、いくの⁉︎」  息も絶え絶え、心臓が痛い。  こんなに走ったのは人生で初めての事だった。  彼女はと言うと、表情は見えないが息を切らせた様子もなく、障害物をスイスイ避けながら平然と走って行く。  一瞬、こちらに振り返ると、あの大きな瞳で僕を見て、またにこりと笑った。  そして、また前方に視線を戻し何事もなかったように走り続ける。
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