殺害

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ある日、私は小学校の担任の先生から殺害の依頼を受けた。 今日も変わらずに授業を淡々と受けて、休み時間に遊んで、帰りの会を済ませた後、突然呼び止められた。西日が教室の窓から差し込み、烏の声が聞こえてくる。先生は、落ち着いた雰囲気でかつ真剣な眼差しで話し始めた。 「あなたにやってほしい事があるの。殺して欲しいのよ。」 いつもはすごく明るくて、優しい先生だったのにどうしたんだろうと疑問に思ったが、面倒を見てくれていることに感謝しなければ、と依頼を承諾する選択をした。 殺害の実行は依頼を受けた1週間後に予定した。その一週間の間に私は幼い知識を働かせながらどうすれば殺害相手を違和感なく呼び出せるか、その遺体の処理をどうするかなど様々な事を考えた。私が悩んでいると、時々先生がやってきてアドバイスをくれるので、そのアドバイスを参考にしながら綿密に計画を立てた。 ついに実行の日が訪れた。帰りの会が終わると、私は急いで家に帰った。幸いにも、父と母は仕事の日だったので3時間ほどの猶予があった。私は早速、殺害相手を呼び出した。闇の中に、殺害相手がのこのことやってくる。私は手に隠し持っていたナイフで思いっきり、彼の腹の辺りを刺した。そこから遺体の処理で必死で徐々に意識がなくなっていった。目を覚ますと、母親が玄関にいた。私は驚き、何か隠すべきものはないかと目で探したが見つからなかったので安心した。玄関から、母親の声がする。 「ただいま。」 「おかえり。」 と必要最低限の返事をする。どこか、胸の辺りが苦しくなりながら、徐に立ち上がり私は自分の部屋に戻った。 翌日、私は先生に殺害の報告をしに行った。先生は私を褒めてくれた。褒められることでとても心地よくなった。また、昨日から胸の辺りがずっと苦しいと尋ねてみると、しょうがないわとそっけない言葉であしらわれた。そして、最後に先生は私の事を「大人」と呼んで職員室に戻っていった。 虚ろな目をした私も、教室に戻った。廊下では小学1年生の子どもが元気な声をあげてはしゃいでいる。どこかの懐かしさと、うらやましさを浮かべながら教室を目指す。不意に廊下の窓ガラスから外の景色が目に入った。原因はよくわからないが、モノクロに見える。 私が殺したのは私自身だった。
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