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兄弟は、妹の復讐の為に手を組んでいたが、今後は会わないと話して抱き合う兄弟は、決して憎しみあっているのではなく生きる世界が違うから兄が弟を想い「会わない」という決断を下したのだと沙耶香は思った。
沙耶香からみても宇佐美英明は、腹黒い男だがその本当の所はそれだけで無く沙耶香とは違う環境から這い上がった人だと沙耶香は感じていた。
金子には感じなかったドキッとした感じ・・宇佐美英明という男の腹黒さも賢さもすべて色気にも感じるなんて自分がおかしいのかと沙耶香は思ったが自力で迎えを呼びマンションに帰る最中脳裏に浮かぶのは宇佐美英明
の姿。
思い通りにはならないだろう男・・強くしなやかな黒豹みたいな彼。
決して優しくはないのに鏡恭介よりなにより気になるのは彼だった。そして「あんな女性になりたい。」と思ったのは神田美夜だ。
凛とした彼女のように自分の力で生きてみたいと本気で思ったしその上で本当に愛して愛されたい・・そう思った時にまた宇佐美が出てくる。
「何からするべき?」
沙耶香は、今までの甘えた環境ではなく自分を見つめ直し仕事をしたい活躍したい、あの男に認めてもらいたいと思う欲求が高まった。
欲しいと思って簡単に手に入るものでは無いからこそ沙耶香の闘志に火がついた。
そして神田美夜がチラッとみた沙耶香がしている時計は、彼女のものだったのかも知れないと沙耶香は思いすぐにクリーニングに出す事にした。
彼女は、彼に何かを強請るような女性ではない事はすでに沙耶香にも解っていたのと報告の中に神田美夜の自宅に泥棒が入ったという情報からすべて金子の仕業だと沙耶香は考えた。
「さて何から行動すべきかしら・・。」
この日から沙耶香は、人が変わったように勉強と計画を立てる事にした。
すべては自分を理想に近づける為。
そして今は気になる彼に近づく為。
最近仲良くなった綾瀬円佳に連絡を取る事にして有効的に自分の父の力を使う事も考えた。
「お父様・・ご心配をおかけしましたがお願いがあるのです。私は仕事が出来る女になりたいのよ。」
「へっ?」
気の抜けた声で父らしくない返答だったが父は、沙耶香の変貌ぶりを最初は悪い物を食べたのかと言ったが娘が何かを目標に変わろうとしている事を心から喜んでくれたのだった。
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