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彼の口からでた神田美夜は、最悪な女だったそしてそんな彼の言葉をすべて信じた沙耶香。
沙耶香は、毎日金子が言う神田美夜を一目見ようと思ったが中々その機会は無かった。
そんなある日に休憩室でお茶を飲んでいる沙耶香の近くにきて決して目の前には座らずに話しかけてきた人がいた。
「一条さんは単純だな。」
なんて失礼な事を言う人なんだろうと思って見上げるとそこには宇佐美英明という有名人が立っていた。
「珍しいですね。宇佐美さんが社内にいるなんて!」
受付にいると営業の宇佐美を訪ねてくる人が毎日いる事と噂から彼がかなり仕事ができる営業成績トップの有名人だと沙耶香は知っていた。
「俺だっていつも外じゃ事務処理ができないよ。にしても・・あいつには気をつけるんだな。」
沙耶香は、あいつと言われる人が金子だとすぐに解ったがその言い方が気に入らなかった沙耶香は言い返す。
「金子さんは良い人ですよ。悪女に騙されているだけです!」
「悪女ね~まあいいけどさ。」
長身で頭脳戦を得意としているという話は聞いていたし情報を操るプロだという噂もある男の宇佐美は、沙耶香にとっては要注意人物だった。
まともに話をした事は、今回が初めてだったけれど何か自分とは違うものを彼から感じていた。
野生の獣みたいな感じというのか同じ人を見た事は無いが仕事だけは、出来る男で女性関係の噂もなければ浮いた噂がない男だった。
「遊べない男は駄目よ。」という沙耶香の世界での常識からみて女の噂がない特定の女性もいない男は、駄目な男だと沙耶香は思い込んでいた。
そして彼の忠告を無視するだけでなく、余計にこの時から金子擁護の考えを強くした沙耶香は金子の罠だとも知らずに振り回される事になる。
しかしこの時沙耶香は信じていた。
金子直樹は、純粋で優しい人だと信じて疑わなかった。
そんな彼が「沙耶香さんのような人なら僕も幸せなのに。」という言葉にほだされて金子が神田美夜に手切れ金を渡す必要があるという話を聞いて彼に金を用意して彼は「こんなのダメだよ。」と一度は言ったけれど結局彼は、その金を受け取り神田美夜と別れたと同時に沙耶香は金子との交際をスタートさせた。
沙耶香は、金子との交際は楽しかったし彼がすぐに結婚前提にしたいと言ってくれた時は政略結婚の呪縛から解かれるのと同時に愛されて結婚できるのだと思ったらなにより幸せだった。
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