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沙耶香の耳に念仏
彼と初めて朝を迎えた日に義姉の愚痴に付き合うはめになるとは思わなかったが、義姉はいつものようにホストクラブ遊んでいたが、で嫌な事があったらしく一枚の写真を送ってきた。
その写真を見た直樹は「この写真誰から?」と聞く義姉からだと言うと未来の為に使いたいと言い出した。
義姉にそう伝えると面白そうだからどうぞと言ってくれたが義姉は、その時に金子に疑念を抱いたと後で言ってくれた。
彼は、その写真をSNSで上げて神田美夜を貶める行動を始めたが話ではかなり金をせびられたり裏切られたりしてきたという彼の言葉を信用し金子の行動は当たり前だと沙耶香は思っていた。
父親にも金子を紹介し父親は、金子にある条件を出しはしたが交際も結婚も反対は表立ってしなかった。
「金子君、君の今の立場ではすぐに結婚は認められないが君が言う荒井産業で主任以上の立場で今よりも優遇された状況になれば結婚
は許そう。」
父親の言葉に金子は早急にそうなるように動きますと答えて条件付きだが沙耶香の父は反対はしなかった。
その条件達成の為に彼があまり一緒にいる時間がなくても沙耶香は疑いを持つ事は無かった。
彼が指輪の変わりだとくれた時計もかなり高価で出かけた時は彼がすべてデート代を出してくれたし仕事が忙しいと会えない日も多かったが結婚の為に彼が奔走しているのだと思うと沙耶香は幸せだった。
「指輪は、条件を満たしたら一緒に買いに行こう。」
「そうね、嬉しい。」
彼は、自分を愛してくれているとそう信じて疑いを持つことは無かったがある時義姉に呼び出されて話を聞くまで彼を信じていた。
小説のように愛されて愛してくれる彼が好きで会えば囁いてくれる美辞麗句も耳に心地よかった。
社内では、二人で食事をしたり一緒にいる事が多いし彼の荒井産業時代から今に至ってお世話になっている荒井産業の課長さんにも合わせてもらったり話は順調だと思っていた。
彼が「神田美夜に預けてあった金があれば・・。」という話をしてきて聞けば彼は給料のほとんどを彼女と付き合っている時に手渡していてその金を彼女が返金してくれないと言うから、父親に電話して神田美夜の口座を凍結して欲しいとお願いしてみたら意外にも父親はそれに応じてくれ無かった。
そして、義姉に会うように言っただけだった。
義姉との久しぶりにホテルのレストランで食事をする事になったその日に自分の中の金子直樹と義姉が言う金子直樹とは違ったのだった。
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