今日、虹の彼方で

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『ねえ、どうして由布子さんには王子様がこないの?』 『今はこれないだけなのよ、』 『ふうん?』  幼い頃、何の気なしにそんなことを言ってしまった私の口を塞いでやりたいわ。  あの時の由布子さんはどこか寂し気だった。  由布子さんはずっとずっと待っていたのに。  王子様が迎えに来てくれるのを今もきっと待っているんだ。  実家に留まって、松野由布子として、すぐに王子様に探してもらえるように。  本当はもう来ないってわかっていただろうに……。  最後まで読み終えて、写真を挟み元通りに机の上に戻す。  由布子さんの宝物のような時間は、今も色褪せていない。
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