今日、虹の彼方で

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「ああ、そういえばね、美味しいチーズがあるの。サナちゃん好きかしら」  冷蔵庫をガサガサと漁る由布子さんが首を傾げている。 「おかしいわねえ、食べちゃったのかしら……」 「ねえ、由布子さん、仕事帰りに私のオススメのチーズ買ってきてもいい? あ、クリームチーズも買ってくるから、またチーズケーキ作って欲しいなあ」 「いいわね、チーズケーキ。サナちゃんはレアが好きよね。ふふふ、美味しい紅茶も用意しなきゃね。お母さんも呼んで女子会しましょうか」  半月前に賞味期限が切れていたチーズを、気付かれないように捨てた罪悪感で胸が痛む反面。  チーズが冷蔵庫に残っていたことを、由布子さんが記憶していたことに少しホッとしたのだった。
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