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20××年 6月20日 午前
どんな時でも慌ただしい大都会の通りを、春に入社した会社に遅刻しそうになっている私は、今日も風の如く走り抜ける。いつの間にか顔の一部のようになったマスクをきっちり着け、もわっとした湿気を顔全体で被りながら、パンプスの音を響かせる。
アスリート達は毎回こんなに苦しい思いをしながら鍛えているのか...
運動とは無縁の私は、そんなことを考えながら毎日息を荒げている。
会社に着く。時計を見る。
ぎりぎりセーフ。
安堵感は一瞬で、いつもここから受付の人に笑われるのがお決まりだった。
「今日もご苦労様です。」
皮肉のような言葉をもらって、私はその一日を始める。
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