第二章 ①帰宅★

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第二章 ①帰宅★

「んっ……ふ…………」  カタカタと馬車は音を立てて揺れていた。走り出す前からすぐ始まったキスで、レオンは頭も体もすっかり熱くなって溶けてしまいそうだった。どちらとも分からないものがこぼれ落ちて口の端しから流れ落ちた。それをもったいないという風に、シドヴィスは顎の辺りからベロリと舐めてきた。 「シド……も……もう………」 「ふっ……レオン、先端から蜜が溢れてきますよ。こんなに濡らして……馬車を下りたらみんなびっくりすると思いますよ。まるでお漏らしでもしたみたいですから……」 「や……だめ………、こんな………姿……見られたら……」  レオンの下着はシドヴィスにくつろげられて、小さな欲望が少しだけ頭を覗かせている。それをキスと一緒に下着ごと擦られて、ただでさえ量が多いのにシドヴィスから与えられる刺激で蜜が止めどなく溢れていた。  だめだと思えばそれもまた興奮する材料であり、戸惑いの声を漏らしながらも、レオンは湧き上がってくる愉悦に震えていた。  シドヴィスからのプロポーズは、レオンの人生の大きな変化の一ページになった。  発表会の翌々週から学園は休みに入った。ちょうど冬の社交界シーズンに入るので、貴族の皆さんは勉強よりもすっかりその話になっていた。  レオンはというと、事前に父に手紙を送っていたが、直接報告する必要があるので、実家に戻ろうとしていた。  正式な婚約を結びたいというシドヴィスの意向で、まずは王都に近いシドヴィスの実家へ向かうことになった。  長期休みに入るということで、前日までレオンもシドヴィスもバタバタと忙しく動き回っていて、二人になれる時間はほとんどなかった。  やっと二人きりになれた馬車の中で、シドヴィスは待ちきれなかったようにキスをしてきた。レオンもまた限界であった。シドヴィスの姿を見かける度にその背中にすがり付きたい思いを隠しながら、見つめていたのだ。  止めるものがなくなった二人は本能のままに求め合った。その剥き出しの獣のような口づけは、もて余していた熱を簡単に爆発させて、レオンはキスだけで達していた。膝に乗せられた状態でシドヴィスのモノの存在も感じる。衣服を押し上げて形を変えているそれに触れると、シドヴィスも熱い息をこぼした。 「シド……今日こそ…していいですか…?」 「あぁ…レオン……どうしてあなたは……」  前回口でしたいとお願いしたら、シドヴィスは興奮しすぎて気絶するという事態になってしまった。  さすがに今回は大丈夫そうなので、もうシドヴィスの許可を得る前にレオンは動き出すことにした。  シドヴィスの服をくつろがせて、すでに立ち上がったモノを取り出すと、その圧倒的な大きさにレオンは息を飲んだ。浴場で見た時に立派だということはよく分かっていたが、勃起状態のそれは予想をはるかに超えていた。 「すご……おおき………、口に入るかな」  時々忘れそうになるが、レオンはシドヴィスよりも年上なのだ。いつも頼りきってしまうが、こういう時、少しは年上としての矜持を見せて、シドヴィスを気持ちよくさせてあげようとレオンは意気込んた。  足の間にするりと入って、シドヴィスがしてくれたみたいにまずは舌を使って舐めてみた。  すると、シドヴィスのモノはぶるりと揺れてより固さが増したような気がした。  ペロペロと舐めているとレオンは猫になったような気分になった。亀頭の部分を口に含んで音を立てると、口の中に苦い味が広がった。  決して美味しいものではないと思う。しかし、愛する人のものであるからこそ、愛しいと思える味だった。 「……そんな愛らしい口で……、すぐに出てしまいそうです」 「シド…気持ち……いい?」  レオンが口に含みながらシドヴィスを見上げると、シドヴィスの顔は高揚して、荒い息をはいていた。 「気持ちいいですよ…。ですがもっと口を開けて…、そう、唇を使ってしごいてください」  シドヴィスの雰囲気が若干強いものに変わって、レオンは言われた通りに口を大きく開けてシドヴィスのものを口に入れた。  全部は到底入りそうにないので、遠慮がちに先の方を含んでいたら、シドヴィスの手が伸びてきて頭を掴まれた。 「んっごっ……!!」  シドヴィスにガッと口の奥まで押し込まれて、先端が喉の奥に達して、レオンはこみ上げてくるものをなんとか我慢した。 「んんっ……んく………んんんっ」  口に含んだまま抗議するように目線を上げると、満面の笑みで嬉しそうなシドヴィスの顔があった。 「いいですね。なんて最高の眺めなんでしょう。こら、歯を立てないで、唇だけで……そう……いいですよ……上手です」  息苦しさからレオンの目には涙が溢れ鼻水も出てきて、ますます呼吸は苦しくなった。  酸欠で沸騰しそうな頭のまま、レオンは必死に口を動かして舌を使って先端を刺激した。 「あぁ……、イキそうになってきました。このままお口の中に出していいですか?それとも………」  レオンはシドヴィスが飲んでくれたみたいに自分もするのだと覚悟を決めた。ぐっと喉の奥を開いてそれがはじけるのを待った。 「うーん、迷いますね。でも、レオンの中に初めて出すなら下のお口にしたいですね」 「……んん?」  目が合った瞬間ニヤリと笑ったシドヴィスは、レオンの口の中からそれを一気に引き抜いた。  そしてそのままレオンの顔に白濁を放った。 「えっ………」 「あぁ…こんなに美しいものを汚すなんて……私はなんと罪深いのでしょう」  顔中自分の放ったものにまみれたレオンを見て、シドヴィスは満足そうに微笑んだ。  指を使って白濁をすくい取るとレオンの口の中に入れて塗り込むように指を動かした。 「うう……苦いよ……シド……」 「ふふっ…全部舐めてください。あぁなんて……可愛いのでしょう。とても嬉しいです」  顔中ベタベタにされてひどいと思ったが、嬉しいと言われればなんとも複雑な気持ちで、レオンはすくい取られたものを綺麗に舐めて飲み込んだ。  ごくんと音を鳴らして喉に落とすと、それを見ていたシドヴィスは目を見開いて驚いた顔をした。 「…はっ……!…すみません、つい興奮してしまって、夢を実現させてしまいました。私としたことが…顔にぶっかけて、レオンに舐めさせるなんて…」  興奮が高まったシドヴィスはどうやらまた例のブラックシドになっていたらしく、今気がついたように焦りながら、レオンの口の周りをハンカチで拭いてきた。 「んっ…いいよ……、俺、ちゃんとシドを気持ちよくさせたかったし」 「レオン……あなたは天使ですか……、早くあなたの中に突き入れて子種をそそぎたい!朝まで喘がせて…それで…それで……」  がしっと抱きついてきて、どうやらまだブラック感が抜けていないシドヴィスの頭をレオンはよしよしと撫でた。  普段は感じなくても、こういう時年下なのだなと可愛く思えてしまって、愛しげに頭の上にキスを落とした。 「……どうやら、もう着いているようですね。周りが見知った景色でした」 「ええ!?ちょっ……服を…直さないと……」  なぜか自分よりも先にシドヴィスのズボンを直してから、やっと自分のズボンを直して濡れているところを必死に隠そうとしているレオンを見て、シドヴィスはおかしそうに笑った。 「父はだいぶ丸くなりましたし、母も静かな人なので、そう緊張しないでください。ちゃんと恋人は男だと伝えていますので、一度私の部屋で着替えてから挨拶に行きましょう」 「うう…はい」 「ただ……」  微笑んでいたシドヴィスが少し厳しい顔になった何か嫌な予感がしてレオンはその続きを待ちながら胸に手を当てた。 「いるか分かりませんが、兄達は貴族としての意識を過剰に持っていますので、レオンに不愉快な思いをさせてしまうかもしれません。それが心配です」 「んー……そっちの方が普通だと思いますよ。突然平民の男を連れてきて歓迎してくれる人は少ないですよ。大丈夫です。何を言われても俺は平気です。緊張しているのはシドの方じゃないですか?ほらリラックスして、手を繋ぎましょう」  元気いっぱいの顔で笑いながら、シドヴィスの手を取ったレオンを見て、シドヴィスも目を細めて微笑んだ。 「今日はやけにお兄さんになりますね。ここにまだ私のが付いていますよ」 「ええ!?う…嘘!!」  からかうように指摘されて、レオンは真っ赤になって顔を隠した。  それを見たシドヴィスはたまらないと嬉しさが溢れる顔をして、レオンを抱き寄せたまま持ち上げた。 「わっ…、シド……!!」 「大人しくしてください。未来の妻を抱き上げるのはもう私の仕事です」  そう言って抱き抱えたまま、シドヴィスは馬車の外へ出てしまった。  ジェラルダン家の使用人達はどうやら勢揃いでずっと待っていてくれたらしい。  お帰りなさいと言いながら、ずらーっと並んでいる人の波の中を、シドヴィスは待たせて悪かったねと言いながら慣れた様子で進んでいく。本来なら自分も挨拶したいのに、こんな状態ではとても顔をあげられなくて、レオンはシドヴィスの胸の中にうずまって目を閉じた。 「今夜は朝までレオンを離しません」  耳元でそんな事を言われてよけいに赤くなって顔を上げられなくなった。  レオンは恥ずかしいけれど嬉しい気持ちになり、それに応えるようにシドヴィスの首に回した腕に力を込めたのだった。  □□□
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