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 それはボクが何となく名残惜しさを覚えていたせいに違いない。  時間があるのを良いことに、それでもなお飽き足らずその時間を引き延ばそうとするように、好き勝手に君との時間を味わっていた。  情けない、とは思う。  思ってはいる。  だからこそ、ボクらはこういう結末を描き合うことになったのだろうけれど。 「……あ」  不意に立ち止まる彼女。  そちらを見遣れば空を見上げている。  つられるように見れば、すっかり狭くなっている空の隙間から、こちらを覗き込むように見ている月がひとつ浮かんでいた。
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