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なんて、この嘘がばれるのもきっとあっという間だろう。 流川ほど経験豊富じゃないし、なんなら身体を重ねたのはつい半年前に分かれた元彼のたったひとりだけだ。 キスだって、流川みたいにうまくなんてない。 それでも、落ちてしまいそうなキスに、わたしはもう二度と落ちたくないから負けたくない。 「……へえ、」 「──ねえ、いいからはやく弱ってよ」 わたしの煽り言葉にぴり、と彼の表情が一変する。 電気はつけていなかった。 寒い部屋、真っ暗な部屋のカーテンの隙間からこぼれる月明かりだけが私たちを見ていた。 ベッドに押し倒されて、そのまま覆いかぶさってくるそのカラダに、もうどうにでもなれと身を預ける。 彼が今まで遊んできた女の子には、どうやって触れてきたのか、そんなただの興味本位だったと、まだ今なら言い訳が通用すると思っている。 「……お前の知ってる俺はもう、どこにもいないよ」 「…うん、みればわかるよ」 「それでも、いいわけ?」 「──いいよ、べつに」 都合のいい女の気持ちなんて考えたことないし、 考えたくもない、そう思ってた。 どうでもいい女の子といかがわしいことをする男なんて、大した奴じゃない。 うんざりすればいい、最低な男は嫌いだ。 でももうわたしは、 流川瑞月にとってはそのうちの一人なんだろうな、そう思う。
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