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「……ん、……ぁ、」
「なに?ココ、好きなの?」
「や、ちが、ぅ」
「違うんだ、じゃあ、やめよっか」
「──っ、ずるい」
「だって、今日は俺が慰めてもらえる側、でしょ?」
「……っ、」
「お前ばっかり気持ちよくなるの、ちがうよね」
自分の弱いところは自分が一番知っている。
何処に触れて欲しいのかも、どこが物足りないのかも。
長い指が器用に私を弄んでいく。
わたしの表情を見て、簡単にわたしの弱点をひとつずつ握っていく。
流れ作業のようにあっというまに身に纏っていた衣服も下着もはがされて、
恥ずかしげもなく露わになった胸の頂点を、容赦なく苛める。
「っ、そこは、いい」
「いいの?嫌なの?どっち?」
「やだ、……っあ、」
「へえ、絶対嘘じゃん」
ベッドの上だからこんなに意地悪になってしまうのか、
それとも変わってしまったからこうなのか、そんなこと考えさせないくらい頭は快楽で可笑しくなりそうだった。
さっきよりも饒舌に私を煽る彼の声に傾ける耳さえもうなくなってしまいそうなくらい、彼の沼にずぶずぶと沈んでしまっているような気がしていた。
暇を持て余していたもう片方の手のひらがツー、と慣れたようにショーツを下ろす。
抵抗する間もなく一番敏感な頂に触れれば、恥ずかしいくらいに腰が浮いて、慌てて腕で顔を隠せば、笑い声と一緒に簡単に腕がはがされた。
「いまの、よかった?」
「っあ、ゃ、…ッ」
「一番好きなの、ココ?」
「…ちが、や、るか、わ」
「……流川、って呼ぶよな、お前は」
わたしを見下ろす目が、楽しそうに目尻に皺を寄せる。
そうしてそのまま、名前を呼んだ口を片手でなぞって、口を開いた。
「苗字で呼ばれると、やましい気持ちになって、そそる」
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