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さっきまで泣いていた流川瑞月はどこにもいない。 それを決して綺麗ではないもので隠そうとした、下手くそで不器用なところも、もうどこにも残っていなかった。 慰めてくれるんじゃないの、なんて言っておいて私にその隙なんて一瞬も見せなくて、わたしばかりが翻弄されていくのだ。 ねえ、流川は。 どうやったら悲しむ?どうやったら傷つく? わかっているんだ、流川がどうしてこうなってしまったのかも、 バレないように泣いてしまいたいと想う人がいたってことも。 知ってるんだよ、本当は、 私たちが会わなかった3年間で、流川瑞月は本気で好きになった子がいて。 もうその子とは、終わってしまったって。 それから、こうなってしまったこと。 誰かが、そう言っていたんだ。嘘か本当かもわからない話は、流川がおかしくなっちゃったから噂になってしまってるんだよ。 「……は、ほんと、厄介」 「うん、厄介な女だよ、…っあ、っ、」 「別に声我慢しなくていい」 「…っあ、ゃ、っう、」 「俺はいま、『清原椎奈』のこと、抱くの」 「──――ッ、」 「代わりなんて、居ないんだわ」 「―――、や、るかわ、っ」 「の代わりなんてどこ探してもいねえんだよ」 ばらばらと中で動く2本の指がすっと抜かれて、それからあっという間に避妊具を施した熱を入り口で押し付けられる。 余裕のなさそうな顔がわたしを見下ろして、その濡れっぽい瞳にはひどい姿のわたしが映っていた。 「……思い出させんじゃねーよ」 「っあ…ッ!」
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