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「ひとりで、誰にも助け求めないで、それがかっこいいっておもって―――」 「うぜえ」 「―――っ、」 それ以上何も言わせてくれなかった。 わたしのうるさい口を大きな手のひらが覆って、それから軽い舌打ちが落ちた。 「うるせえよ、」 「……」 「もう、どーでもいいんだわ、」 「……」 「未練じゃねえし、とっくに終わってんだよ、2年も前だよ、もう何とも思ってねえ」 「……」 「のせいで、もう二度と大切なんていらねえって思ってんの」 「……」 「清原、おまえ、やっぱうざい」 流川瑞月は嘘つきだ。 ひねくれてる、そう思う。 言葉と表情が同じ意味をなしていないのだ。 未練じゃないならそんな顔しないでほしい、 とっくに終わってるならそんなこと言わないし、2年も引きずってんならくそ重たいし、その反動でたくさんの女の子を抱いてきたのなら最低としか言いようがない。 彼の下に組み敷かれてきた女の子たちのことを、彼はどう見降ろしていたのだろうか。 考えたくもない。 その一人にも、なりたくなんて、なかった。 ―――それなのに、わたしは。 「………ッ、なんなんだよ、まじで」 わたしを覆いかぶさっている大きな身体、その背中に腕を回して。 ベッドについていた片手が、バランスを崩して倒れてくる。 それからぎゅっと、優しく、彼を抱きしめた。 わたしを覆っていた手のひらが宙に浮いて、ふと見せた隙の表情は、やっぱりあの頃私が好きだった彼を思い出させるのだ。
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