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「うざくてもいいよ、もう」
「…っは、」
「未練じゃない、好きでもない、じゃあいまの流川って、なんなの?」
「……」
「まあ別に、なんでもいいけどさ」
「……」
「やめなよ、もう、たくさんの女の子に手出すの」
自らで、自分を汚していく。
その手で、誰かのことを傷つけている。
そうしてまで流川が手に入れたいものなんて、おそらくなにもないのだ。
「流川は本当は一途で不器用な良い奴なんだから、それを壊すのやめなよ、」
「…清原に何がわかんの」
「わかんないよ、ちっとも。……まあ、わかりたくもないけどさあ」
「……」
「ねえ、流川」
「……」
「―――わたしのこと、好きにしていいよ」
「……は?」
さっきまで冷たく見下ろしていただけの切れ長な細目が、その真っ黒な瞳が、かすかに揺れた。
そこにはわたしが映っているんだ。
他のどの女の子でもなくて、きっと流川のこころに居座り続ける誰かでもなくて、今、目の前にいる、わたしが。
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