身代わりのお見合い話

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 大国・フレーティア王国の東にある隣国の更に隣国に小国・マルケイア王国があった。マルケイア王国は小国ながらフレーティア王国を含む諸外国の外交ルートによる輸出品で国力を温存していた。その輸出品はマルケイア王国にしかない水を使用した化粧品であのオキュワ帝国でさえその化粧品欲しさにマルケイア王国を優遇していると近隣の国々から妬み半分で羨ましがられていた。  ところが。そのマルケイア王国で10年前内乱が起こった。一時期は王国が焦土と化して国民は居なくなってしまうのではないかとも思うくらい酷い内乱。その内乱を押さえ込んだのが現在のマルケイア国王・ホマエルである。彼は弱冠15歳という若さで内乱の切っ掛けを作り上げた兄達をその剣の錆にするなり兄達を煽り立てた貴族達をも血祭りに上げその貴族達の意向を汲んだ傭兵や兵士達をも血祭りに上げた。  ホマエルの兄である第一から第四王子達は前国王が病に罹った途端に王位継承争いを起こし、貴族達をどれだけ自陣に取り込めるか争い、その貴族達が敵となる貴族達を陥れようと傭兵や兵士を雇って相手の領地へ攻め込み、それを報復しあった結果一時期は焦土と化して国民が全滅する寸前にまで追い込まれた。  だがその手前でホマエルが兄達4人と莫迦な貴族達を血祭りに上げ更には傭兵や兵士をまとめ上げていたトップを血祭りに上げた事でようやく国民は全滅する前に助かったのである。  それと4人の王子達に阿る事を良しとしない心ある貴族のお陰で。その貴族家は3家しか残っておらず男爵家が2家。残り1家は伯爵家だった。この3家は表向きは4人の王子達に阿る事を良しとしない、という事だったが実は伯爵家の当主が小心者で領民を守るために中立の立場を保っていただけのこと。  残りの男爵家のうち1家は国王陛下の密命を帯びていた事がホマエルに知らされた。その密命とは万が一前国王に何かあれば王位を譲る相手を伝えられていたのである。だが前国王が病に罹ったのと同時に王太子だった第一王子を第二王子とその母である側妃が暗殺しようと試み……その企みに乗ったふりをした第三と第四王子が第一・第二王子をまとめて暗殺しようとして……泥沼化してこの状況になった。泥沼化する前に密命を帯びていた男爵がその密命を明かしてくれれば良かったが、折り悪く男爵も病に罹り暫く起き上がらなかった。起き上がれるようになった時には既に泥沼化していたのであった。
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