217人が本棚に入れています
本棚に追加
「というか、こんな国の王のところに誰が嫁に来るっつうんだよ⁉︎」
「それなら安心して下さい。フレーティア王国にコネがあるのでそちら経由で紹介してもらう事になってます」
「はぁ⁉︎ あの大国に頼んだのか⁉︎」
「ええ。大体復興の為の人手の多くはフレーティア王国からの支援です。今更縁談の一つや二つを図々しくお願いしたって何にも言いませんよ」
それはそうかもしれない。フレーティア王国や近隣諸国からの支援金と人手を借りてもまだ圧倒的な人手不足。というか政務が一番滞りがちだ。政務官も派遣してもらったが一国から借りていないため各国で仕事の仕方が違うため逆に時間がかかってしまうのである。多大な支援をしてくれるフレーティア王国であっても政務官だけは人数制限されてしまっているので仕方ない。
「で? フレーティア王国はなんて?」
さすがにあの大国の王女が来るとは思っていない。
「アンジュール・フレーティア第二王女との見合いを持ってきました」
「は? あの大国の王女を?」
「ええ。但し見合いだけだそうです」
「……どういうことだ?」
結婚はさせないって事なら最初から見合いをさせない事も出来るだろう、とホマエルは思う。
「何でもアンジュール王女は育て方を間違えたのか我儘になってしまったそうで。第一王女がとある国の王太子殿下と婚約したので、自分も何処かの国の王太子か国王じゃなければ嫌だとゴネているのを宥めるために申し訳ないが見合いだけしてくれないか? と。その代わり気に入らないと言って断ってくれて構わないそうです」
「なんだそりゃ。我儘王女を宥めるオモチャかよ俺は」
「というよりこちらが断る事で国王から断られる程の我儘王女だとして強制的に修道院へ送りたいらしいです」
「あー厄介払いの都合良い理由付けかぁ」
まぁ断っていいなら、という事でホマエルはフレーティア王国の第二王女との見合いをすることにした。まさか別人が来るとも思わずに……。
最初のコメントを投稿しよう!