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若くて金持ちの魂は、ポイント高し
アザレアは、無気力センサーの反応に従って、人界に降り立った。
「ここは?」
人の往来が多い。どうやら、若者が集まる繁華街の様だ。
人の流れに紛れながら、アザレアは「無気力レーダー」を使い、やる気のない人間を探していた。
「若い魂ほどポイントが高いけど、私が探しているのは無気力で死に近い人なのよね」
死神は、人界で魂をゲットした後、天上界に魂を送る。
送られた魂は、「閻魔庁」によって選別され、天国か地獄に送られるのだが、ある条件を満たした場合、「差し戻し」と言って、生まれ変わりを命じられることがある。
その際の判断基準は、「年齢」「善行」「金銭」等がプラスポイントとして加算されるが、「怠惰」「悪行」「死神以外による魂強奪(つまり殺人)」等がマイナスポイントとなって加算される。
そのポイントによって、魂は虹色に美しく光る反面、淀んだ泥の様にくすんだ灰色にもなる。
死神庁では、プラスでもマイナスでも、ポイントの高い方が評価が高いため、アザレアはポイントの高い魂を探していた。
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