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誰が行ける?
「三木さん、今日悪いけどちょっと残業してくれる?」
15時の休憩時間、上司にそう言われたのが始まりだった。
「明日〆の書類、桑本さんの仕事だったんだけど彼女さっきおばあさんが亡くなったらしくて帰っちゃったのよ」
「あらら……」
桑本さんは前から「おばあちゃんヤバいかも」と話していたので、ついにかと言う感じだ。
「忌引きじゃあ仕方ないですよね。分かりました」
私は上司にそう言って承諾の旨を伝えると、義母にメッセージを送った。
《同僚のおばあさんが亡くなって帰っちゃって、その仕事受け継いで今日は残業になってしまった芽衣のお迎えお願いします》
すると数分後すぐに《了解》と返事が来る。
義母とは別居しているが、家が近いのでよくこうやってお迎えを頼んだりしている。
正直本当に助かってる。
これで今日は心置きなく残業していける。
そう思って私は作業に集中した。
――手違いの始まりは、16時半も過ぎたころだった。
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