魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

 ギルドの待機室はいつ来てもきれいで整頓されていた。受付嬢が毎日掃除をしているらしくホコリ一つ落ちていない。  だからか、僕の相棒はいつも居心地が悪そうだ。 「もう少し淀んでいる方がオレは好きなんだけどな」 「人間基準だから仕方ないよ。ほら、ここに入ってな」  ダンジョンで拾ったガラクタを詰め込んだ鞄に相棒を突っ込む。幼年学校の子たちが遊ぶボールくらいの大きさに足がついているだけなのに片手で扱うにはちょっと重い。  まるで温泉に浸かった人間のように大きく息を吐いた相棒に思わず笑みが零れた時、コンコンとドアがノックされた。さっと鞄の口を閉めて「はい」と返事をする。 「サイさん、失礼します。依頼が入りました」 「はい。場所はどこですか?」 「シルヴェ湖のダンジョンです。位置はかなり深いところですね」 「……まあ、何とかなりますよ。冒険者の詳細は」 「こちらです」  受付嬢が持ってきた羊皮紙には冒険者の名前やジョブ、似顔絵などが載っていた。魔導士の女の子、名前はリーファ。茶色い髪は肩の辺りでざっくりと切られていて、顔は東部の血が入っているのか釣り目で鼻が高めだ。
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