魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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「それじゃあよろしくお願いします」 「はい。あなたも帰りは気を付けて」  ダンジョンの外とはいえど魔物が襲ってくることがある。まあギルドの案内人なら多少腕に覚えがあるはずだが、目の前で襲われてしまっては気分が悪い。  船が反対岸に近づくまで見送ってから鞄を開く。今度は大げさに息を吐くことなく出てきた。 「どうだ」 「まだ入口だからいろんな臭いが混ざってやがる。もう少し深部へ行かんと」 「……じゃあ普通に進むようだな。ココミチは中に入ってて、お前がいないと僕も帰れなくなるから」 「ああ」  再び鞄にココミチを突っ込んでダンジョンへ足を踏み入れた。洞窟型のダンジョンだから空気が淀んでいる。ココミチの好きそうな空気だ。換気をしてやろうと少しだけ鞄の口を開けば気に入ったようだ。鼻先が少しだけ出てきた。  ココミチを抱えたまま、たまに現れる魔物を倒しつつ前に進んでいると奥の方から悲鳴が聞こえた。 「!」
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