魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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 救援のあった階層よりは浅いものの移動した可能性も鑑みて声のする方へ走る。魔導士なら剣は使わないはずだから今回の依頼人ではないようだ。  だけど遭遇してしまったなら仕方ない、加勢することにした。 「火よ、人に害する魔の者を燃やせ!」  腰を抜かして涙目になっている剣士に襲い掛かっていたのは植物の形をした魔物だった。右手をかざし火魔法の呪文を唱えればギャッという断末魔の後、魔物は燃え上がり、やがて灰になった。  呆然としている剣士と目が合ったが無視して、魔物から出てきた素材を吟味する。ココミチの寝床に使えそうなものを回収してから話しかけた。 「大丈夫ですか」 「あ、あんたは」 「ギルドに依頼されたレスキューです。他の遭難者を捜索中にここを通りかかり……まあいいや、君、ギルドの救助保険には入ってますか?」 「え、あ……入ってないけど」 「なら、これを機に加入をお勧めしておきます。僕はサイ。で、これがギルドカード。これを受付で見せて加入すれば少し割引が効くからよかったら。じゃあ」
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