魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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 難易度の高いダンジョンに挑んで帰還したり、希少性の高い素材を持ち帰って売却したりランクを上げなおすことはできるのだが自力帰還ができない=自己管理ができない冒険者には難しいことなのだという。まあ、冒険者ではない僕にはあまり関係のない話だ。 「お、あいつじゃねーか?」 「!」  ココミチの指示に従って進むこと20分程、壁に持たれて座っている人影をみつけた。鞄の口をしっかり閉め、ココミチを隠してからその影に近づいた。  あちらも僕の持っている明かりに気づいたらしくこちらを向いてゆっくりと立ち上がった。 「ギルドから派遣されたレスキューです。えっと、リーファさんでよろしいですか?」 「は、はい」  明かりを近づけて容姿を確認する。茶色い髪につり目、高めの鼻。持ってきた羊皮紙に書かれた基本情報とレスキューを依頼された魔法石の種類等を照らし合わせて本人確認を行う。間違いない、今回の依頼者だ。 「初めまして、サイと申します。では、これからダンジョンの外へとご案内します。えっと忘れ物はありませんか?」 「ないです」 「ありがとうございます。それと自力歩行は可能ですか?」
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