魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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「あ、ちょっと足を痛めまして」 「なるほど。では、治癒魔法をかけますね。傷を見せてください」  頷いた彼女の足首は確かに腫れあがっていた。治癒魔法をかけて傷を癒すが応急処置程度だ。ダンジョンを出たらちゃんと医者に行くよう念を押した。 「それでは、行きましょう。ココミチ」 「おう」 「ま、魔物?!」  鞄からココミチを取り出して地面に下ろす。クンクンと辺りの臭いを嗅いで道を確認しているココミチにリーファは杖を構えた。  ああやっぱりこうなったか。 「雷よ、杖を弾け!」 「キャッ!」 「……すみません、こいつがいないと僕も遭難するんです。黙ってついてきてください」 「……」  少し語気を強めながら言えば、青白い顔をしたリーファは息をのみ、小さく頷いた。  弾いてしまった杖は拾って、念のために僕が出口まで持っていくことにする。もちろん、出たら返すつもりだ。 「おい、みつけたぞ。ココにミチがある」  と、ココミチが何もない空間を睨めばぐにゃりと景色が歪んだ。
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