魔物を連れた僕はダンジョンで遭難した冒険者のレスキューを生業にしている。

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 これがココミチの持つ能力だ。基本的にココミチは攻撃する術を持たず、とにかく逃げることに秀でている。ピンチになるとこの時空を歪める能力を使ってゲートを作るのだが、このココミチは訓練を経て好きなところへ出口を作れる。  本人もとい本魔者曰く「俺はココミチ族でも1、2を争う優秀な魔物だからな」と事あるごとに言っていたが真偽は定かではない。 「さあ、どうぞ」 「だ、大丈夫なんですか?」 「ええもちろん。なんなら僕が先に入りますよ」  ためらう理由もないから1歩足を踏み入れれば草を踏むような柔らかい感覚があった。そのまま進めばダンジョン入口にちゃんとつながっている。こういう時は何か証拠をと入口の辺りにしか生えていない聖水草を摘んで再び戻る。  戻って来た俺にリーファの目が丸くなった。 「これを、さっきそこで摘んできました」 「あ……これ」 「入口辺りに自生している聖水草です。証拠に切り口からちゃんと水が垂れているでしょう?」
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