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久しぶりに聞いたなと、欧米人――ナガツカは懐かしさを覚えていた。
国家機密は数多あれど、 “階層”がつくものはいわゆる裏事案、決して表面化させてはならない情報群を差す。
それに触れたのなら相応の危険が伴うのは当然だろうと、割り切ってすらいた。
「彼の罪は過激分子保護及び逃亡幇助。警官でありながら、その子を国外へ逃した」
「警官?」
「そう。例外中の例外じゃないかな」
小太りの男の目が頭の中を探るように見つめてくる。
「十六歳当時の彼を引っ張った連中は、余程あんたの血が欲しかったと見えるよ」
「気味悪ぃな」と顔を歪めたナガツカだったが。
「捕まったのはいつだ」
「昨日、いや――日付が変わって一昨日になる」
「そうか。今頃、サエキのやつも」
小太りの男は「間違いなく今は監視下だね」と素っ気ない。
「あんたと親しくさえしていなければよかったのに」
「そうだな」
にやりと笑って、言葉を返した。
「彼奴が悪い」
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