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お一人様同盟
「お前には校外活動のボランティアに出てもらう」
職員室にて、持田恭介は最後の宣告のように担任の教師に告げられた。
恭介は金色に脱色した金髪頭をわしわしとかきながら気だるく返事をする。
「……はあ、ボランティアっすか」
「持田、お前ときたら今年は中学三年の受験生だというのに、成績は最低評価、おまけに素行も悪く遅刻早退は当たり前」
「はあ」
「これでは通知表に何一つ良いことを書く欄が埋まらない」
担任が恭介の一学期の通知表の成績をとんとんと指差す。主要五教科は仲良く数字の一が並んでいた。
「……別に無記入でいいじゃないっすか」
「成績も態度も悪く善行もしてない輩が受かる高校があるとでも?」
担任のドスの効いた声音に恭介は言葉を詰まらせる。
担任は話を続ける。
「そこでだ。成績も態度も悪いお前には二学期の土日からボランティアに出てもらうことにした」
「は?」
「向こうも持田が来ることを了承してくれている」
「俺の了承なしに何勝手に決めてるんだよ!」
「そうしなきゃ絶対お前は断るからだ!」
「開き直った!」
「とにかく、今週の土曜日から“ふれあいパーク”でボランティア活動だ。子供たちと仲良く遊んでこい」
「しかも保育系のボランティアだと!?」
こうして受験生真っ只中の九月頃、恭介は貴重な休日をふれあい館という場所で過ごすことが決定されてしまった。
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