1人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ」
流れたことに安心、した様子でもなさそうだ。ユカコは興味津々。ナナはもじもじ。聞きたくないな、と直感的に脳を掠めたが間に合わず。
「か、彼氏がいたの」
頬を少し赤らめてナナは答えた。と同時に出たユカコの黄色い声が耳をつんざく。確かに意外だとは思ったけどユカコみたいなリアクションはなかなか難しい。
「誰だれ?」
「いや、でもすぐ別れちゃったから」
「そんなのいいよー、気になるじゃん。同じクラス?」
「……うん」
これだからユカコは居心地がいい。放っておいてほしいことはそのまま、聞いてほしいことは根掘り葉掘り聞いてくれる。
「まじか、え、どこまでいったの?」
「どこ、って」
今度は視線を右下へ。ナナ、意味わかるんだ。またまた意外。
「はやくはやく!」
「えっと……き、キス?」
ぽかん、と口を開けてしまう。ユカコも同じみたいだ。まじかこの子。
「やだー! ミーヤン、ナナが大人に見えてきた」
「はいはい、ユカコ興奮しすぎ。鼻膨らむよ」
たしかに真面目ってだけで、可愛らしいし、同じ年頃なんだから偏見はよくないよな。ユカコを宥めながら冷静さを取り戻す。
「そうなるとますます気になるね、お相手」
「お、珍しくミーヤンが食いついてる」
「普段は誰かさんのミーハー話ばっかだから」
ニコッと笑うとナナは吹き出した。ちょっとお、とユカコは身体をくねらせる。しばらく押し問答していれば、諦めたように「ニワノくんだよ」と呟いた。
「やばいわからん、誰だ」
こちらに視線を向けられるも、私もわからず首をかしげる。
最初のコメントを投稿しよう!