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してみようよ、と言った私の声は放課後の視聴覚室によく通った。
「本気で言ってる?」
問いかけに、しっかりと頷く。
「本気だよ」
だって知りたいんだから仕方ない。逃げ腰の彼の膝に手をついて、ぐんと身体を近づける。ちょっとだけ仰け反ったけど、それ以上彼は動かない。耳にかかった髪をかき上げると思ったよりもさらりとしている。
「湯気、出てる」
「湯気なんて出たことないよ」
「でも出てる」
現れた部分は触れなくても十分冷えているのがよくわかった。ごくりと唾を飲み込む。ほんのり紅い耳たぶを撫でれば、湯気はゆらゆら揺れていく。
「……やっぱりだめだ」
「あっ」
掴まれた手首はすぐに緩められ、両肩を押されながら嗜められる。
「俺に触れたら、やけどするよ」
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