仮面

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浅井さんはちょっと薄笑みを浮かべて、私の要望をやっと聞き入れてくれた。 「あっ、浅井…じゃない。宏光さん、そっちも切って」 私は涙声で思いっきり彼に抱きつくと、バイブレーターの電源を切るように頼んだ。 じわじわと攻められ過ぎて、ほんとに漏らしてしまいそうなほどになっていた。耐えていると内腿が引き攣りそうだった。 着ていた服も身につけていたはずの下着もどこかに行ってしまっていた。それでも私は、乱れに乱れた髪と、うっすら汗ばんだ肢体をなんとかうつ伏せにしてから起き上がろうとした。 すると、宏光さんはそんな私を今度は背後から押し倒して、躊躇なく挿入してきた。 「ふぇっ#@□//?!!$#@…」 その瞬間も、自分の口から聞いたこともないような声が飛び出た。 だって挿入される前に、こんなに激しい前戯なんてしたことなかった。 もう頭が真っ白になって、他に何も考えられないくらい意識はその部位に集中した。 宏光さんが腰を突き動かす度にベッドのスプリングが上下に振動した。ゴムで擦れた中がヒリヒリと悲鳴をあげた。 あっ、痛い それに、もう… 私は流石の流石に嫌になって、大粒の涙が溢れ始めた。それから、最後数回激しく突き上げると、彼は漸く私を解放してくれた。 私はその瞬間思わず起き上がって、彼の頬目掛けてパチンとビンタした。 でも…その後、私は見てしまった。 青白い顔でガックリと肩を落とし、彼が落胆する姿を。 「浅井さん…」 私がそう名を呼びかけても、彼は答えなかった。 そして、下着だけ履くと部屋を出て行ってしまった。
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