仮面

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残されたベッドの上で、私は自分の衣服を探し始めた。 身体がちょっとダルかったけど、そんなことはどうでもよくて、彼が気がかりだった。 具合悪そうだったのはどうしてなんだろう? さっきまで、セックスってもっと淡白な行為だと思っていた。 元彼なんて最後の方は多分出すことが目的で、やってる最中にスマホ見たり、ポテチ食べながら漫画読んでる時もあった。 そう私なんて眼中になかったんだろう。 でも、そんなどうしようもないところはあっても、風邪心配してくれたり、デートに行ったりすると、少しはときめいたりしたこともあった。 なんだかんだ私にとっては気楽な部分があったんだろう。 でも、浅井さんと付き合うと気楽にとはいかないんだろうと今は気付いてもいた。 俺たちには溝がある… 浅井さんの言った言葉の意味が心に重くのしかかった。 私は衣服をきちんと着てベッドから立ち上がろうとすると、まだ若干先程の鮮烈な刺激が身体の内側で違和感を発していた。 だから、立ち上がろうとすると腰に上手く力が入らなくてへたってしまった。 私は立てない自分への苛立ちと、先程ちょっとだけ自分も楽しんでしまったことを思い出して赤面した。 ただ、一つだけ今日分かったことがあった。 浅井さんは結構情緒が安定してないところがある。 優しいときもあれば、急によそよそしくなったかと思えば甘かったり強引だったり、 見た目以上に彼はモロい。 でも、浅井さん自身それに気付いていても受け入れられない節があるんだろうと今日の節々で感じた。
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