プロポーズ

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なんだかんだ彼の話を聞いていると、一目惚れって感じもしなくはない。 パーティーの同伴者にと考えたら 確かに私も見た目で相手を選んじゃう気もする ビジネスだって色恋にしたって、その場に相応しい誰かになれるかは時に重要だと思う。 でも、ほぼ派遣でしか生きて来なかった私にそんな大役務まるだろうか?黙っていればいいと言うならそれはありがたい話だけれども、そういう感じではなさそうだった。 「あの、ちゃんと話して頂きありがとうございます。でも、今お話を聞く限り外見的な部分ばかりフォーカスして選ばれたような気もしますよ。ビジネス的な対話や掛け合いをお望みなら私は未熟ですし、そう教養もないのでお力添え出来るかどうかは分かりませんよ」 彼は私のが懸念について語るのを真剣な表情で受け止めてくれた。 「なるほど。確かにそういう事態については想定して然るべきですね。しかし、最初の結婚式の二次会に参加という時点で、その場での出逢いと想定されるので、共有出来る接点って性格の相性や趣味だと考えて貰えると思うんですね。 婚約者とはいえ、長いお付き合いの末というのは僕には向かない設定でしたので、妻の七回忌も終え、少しだけ、自分と向き合ううちに心惹かれる出会いがあったとでも話そうかと思います」 「そうですか…確かにそれなら怪しまれずに済む感じはありますね」 私はそう返したものの、心がモヤっとする気持ちはまだ捨てきれずにいた。
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