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「佐々木!!」
「久しぶり」
「元気にしてた?」
「うん」
私が頷くと、彼は笑顔になった。笑うと目尻が少し下がって優しい顔になるのがたまらなく好きだった。
彼は相変わらず、爽やかさはあの当時のままだった。宏光さんとはまた違うちょっと男らしい色気もあるし、ずっとバスケ部だったらしくスポーツマンの名残りがあった。
「店、こっちらしいから、先に行ってようか?」
「う、うん」
私達は久しぶりの会話にお互いちょっとドギマギしつつも、歩きながら会話を続けた。
今も商社勤めらしいが、世界中あちこち飛び回ってるのだろうか?
そんなことを想像しながら、坂井くんの隣を歩いた。鼻はかなり高めで骨格がしっかりしているけれど、綺麗な横顔だった。
彼と付き合ってたいたのはたったの半年程だった。
スカウトを貰う少し前に、大学のゼミの飲み会で親しくなって急接近したのが始まりだった。
私がそんなことを考えながら歩いていると坂井くんが話掛けてきた。
「佐々木、あんまり変わってないな」
「坂井くんこそ、全然…いや昔より大人になったかな」
「それお互い様でしょ?しかし、相変わらずスタイルいいね。モデルはまだ続けてるの?」
私は彼にそう問われて困った。
なんて答えたらいいんだろ…
今、またモデルやってるとはいえ、最近まで派遣だったしな
素直に話すべきなのかな?
私がもんもんとしていると、彼はまた話かけてきてくれた。
「俺さ、お前と話したかったんだよね」
「えっ?」
「あの時、俺どうしてもお前と続ける自信なくしちゃって、それに三谷から告白貰っちゃったから一瞬自分でも分からなくなったんだよね。お前忙しそうにしてたから、優柔不断になっちゃった。ごめんな」
坂井くんは落ち込んだ様子で、私にそう言うと切実そうな表情で、私を見つめた。
あぁ、そうだ。
考えないようにしてたけど、
彼、同じ大学の同級生と浮気してたんだ…
急に連絡来なくなったんだっけ…
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