告白

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スマホで時間を確認すると7時28分。 ようやくみんなが来店し始めた。 「若菜〜ごめんね。遅れちゃって」 灯里が謝りながら私の元へと駆け寄ってきた。 「あぁ、残業お疲れ様」 「堂島久しぶり。今日はお店の予約ありがとうな」 坂井くんは手を振ると、ニコニコとしながら灯里にそう挨拶をしていた。 「ううん、坂井くんこそ、今日は来てくれてありがとう。短い時間かも知れないけど、楽しもうね」 「うん、ありがとう。俺、ちょっとトイレ行って来るわ」 灯里は席を詰めて来ると、私にヒソヒソと小声で問いかけてきた。 「若菜、坂井くんからなんか話あった?」 「ううん、別に」 私は曖昧に濁した返事を返した。 「坂井くん、元彼だったよね?」 「まぁ、そうだけど」 「復縁とかないの?」 「いや、そんな話はしてない」 灯里はちょっとつまらなそうに頬を膨らませた。 「何よ!せっかく2人にしてあげたのに、いい感じになるんじゃないかって」 「全然」 私は水のグラスを手に取ると一口、口にした。 そうしていると、後の3人が続々やってきた。 みんなゼミの仲間だった。 大学で国際教養学科だった6人。うち2人は男子で1人が坂井くんと、もう1人が狭間くん。 女子は灯里と私とこないだ結婚したばかりの菜穂ちゃん。 「灯里、若菜、久しぶり」 「菜穂新婚生活どう?」 「うんうん、それなりにやってるよ。2人とも、こないだ来てくれてありがとうね」 「いいよ、いいよ。菜穂綺麗だったよね」 灯里はそう言って私に目を細めて念押しするように聞いてきた。 「うんうん、綺麗だった。本当おめでとう」 私も頷いて返す。 席が一気に賑やかになったところで、店員さんが、ドリンクの注文を取りに来た。 1人1人メニューを片手に思い思いのドリンクを頼む。 私は、もう一軒と坂井くんが言ってたのもあって、軽めにハチミツ梅酒のソーダ割を一杯だけいただくことにした。
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