告白

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「カンパーイ」 久しぶりの集まりで、積もる話は沢山あった。 メンバーの中で、既婚者も2人いた。 狭間くんと菜穂。 狭間くんは26歳の時、大学時代付き合っていた彼女と結婚したらしく、もうすぐ2人目のお子さんが産まれると話していた。 そして、菜穂。 あの宏光さんと出会った結婚式の主役だった本人。あの夏の終わりから、もう3カ月。 菜穂は先週妊娠が判明したそうで、エコー写真を見せて貰った。 なんか、本当に順風満帆なんだなぁというのが伝わって来て、嬉しくなる反面ちょっと切なくなった。 灯里は心底羨ましそうに、菜穂から見せて貰ったエコー写真を手に取ると、じっと眺めていた。 私はというと、なんだか坂井くんが気になって仕方なかった。梅酒のソーダ割を口にしながら、チラチラと坂井くんを見ていた。 坂井くんはまだどうやらフリーのようだけど、なんだかんだ、彼の容姿は私にとってはタイプだった。 宏光さんは美形だけど、あの坂井くんのちょっと骨張った骨格と、男らしい色気は彼にはなかった。 笑うときのあの目尻とか、顎を拭う節だった指とか、ちょっとゴツめアゴとか… なんだかんだ、彼を見ていると、学生時代を思いだしてしまうのだ。 そんなことを考えながら、ぼんやりしていると、灯里が急にため息にまじり私に問いかけてきた。 「ねぇ、私達は一体いつ結婚出来るんだろう…」 「あはは、まだだよね」 私はまだプロポーズのことは言わなかった。 「アラサーももう半分過ぎたんだよ。今年30だし、そろそろやばいよね」 「焦ってもどうにもならいけど、ヤバいよね」 私達がそう言って笑っていると、対面から、男らしい色気を感じさせる声で質問が飛んで来た。
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