告白

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私は居た堪れない気持ちにはなったけど、碧音くんの立場を考えると、何も言えなかった。 「碧音、そんな言い方ないだろう?ちゃんと、謝りなさい。それに母親知らない以上、一緒に暮らしてみないと分からないこともあるだろう?」 宏光さんは噛みついていたけど、私は彼を制止した。碧音くんは悪くないのに萎縮させてしまってはあまりに可哀想だと思ったから。 「宏光さん、碧音くんは悪くありません。本心が聞けて良かったです」 「若菜さん…」 私は2人の仲を引き裂きたいわけじゃなかった。こういうとなんだけれど、宏光さんとさえ上手くやれているか微妙なところがある。 「そう言えば、今日デザートにジェラート買って来ましたよね。碧音くん、どれがいいか選んで貰っていいかな。冷凍庫の中にあるから」 「 あ、はい」 碧音くんはそう答えると、椅子から立ち上がった。 宏光さんは少し意にそぐわない様子だったが、私と碧音くんがキッチンに向かうのを黙って見ていた。 私が冷凍庫からジェラートを取り出して、彼に見せると、沈んでいた顔が少しだけ明るくなった。 「これがキャラメルナッツで、こっちがチョコレート、ベリーのレアチーズとクッキーチョコレートもあるけど、どれがいい?」 「これにします」 「クッキーのやつ?」 「はい」 「今お皿に移すから待っててね」 私は今日はいつもより笑顔を心掛けていた。 それがいいか悪いかは分からないけど、碧音くんの緊張を少しでも和らげるなら、それが一番だと思ったからだった。 「あの…」 私がアイスをディッシャーで取り分けていると彼が話かけて来た。 「どうかした?」 「僕はあなたが嫌いとか、そう言うのはなくてただ分からないだけなんです。一緒に暮らすのは別に構いません」 まだ、10歳の子に後妻なんて紹介して分かるわけがない。 「ううん。碧音くんは気にしないで。むしろ、私がせっかく二人で暮らせるのに邪魔しちゃうの申し訳ないくらい」 「でも、あなたは悪い人じゃないと思います。お母さんとは思わないけど、仲良くして貰えるなら大丈夫です」 随分しっかりした子なんだなぁ。 私はそう思って食卓の方を見ると、黙ったまま遠くを見つめて動かない宏光さんの姿があった。
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