告白

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「見ちゃったじゃない、もう!!」 「いや…お恥ずかしい」 灯里は私に駆け寄って来るとそう言った。今度は私が顔面を押さえた。 すると、男性が向こうからやって来た。 トイレを利用する客に道を塞いでしまっているのに気付いた私達はその通路から離れて会話を続けた。 「いいよ。いいよ。私は若菜にも先越されそうだなぁ」 「そんな分からないよ。坂井くんだってまだ本気かどうか分からない」 二人でちょっとそんな話をしてから席に戻った。 席に戻る瞬間みんなに一言謝って私は腰を下ろした。 「ごめん、みんな。取り乱しちゃって」 「いいよ、全然こっちこそごめんね」 って菜穂に謝られて、なんか気を遣いながらも席に戻った。 坂井くんは手にしたビールジョッキをグイっと 飲み干すと、なるべく私の顔を見ないようにしていた。 それから話は、大学時代に流行ってたあるモノへと移った。アレがよく流行っていたと話題に登っていたお菓子やゲーム、そういうなんなら当たり障りのない話で盛り上がっていられるのは学生時代の友人のいいところかも知れない。 坂井くんも楽しそうにしてたし、狭間くんは最近の子供の間で流行ってるアニメについて話していた。そして、自分もハマってるらしくスマホのゲームのスコアを自慢気に見せて来た。 あの、碧音くんが大好きな不滅の銃。 なるほど、あのアニメそんな人気だったんだ。 灯里はよく知らないらしくて、私が知っているというと驚いていた。以外にも坂井くんも知ってるみたいで、どうやらお姉さんのお子さんが小学生でたまに付き合うようだった。 私は戻って良かったと思った。普通に笑える自分がいて、さっきはもう帰った方がいいのかなと考えてもしまったけど、特に心配はなさそうに見えた。 たまに坂井くんがチラッと自分を見つめては目を逸らすのがなんだか、中学生みたいで可愛いような余計恥ずかしいような… それだけはなんとも落ち着かない気持ちにさせた。 時間はあっという間に9時になった。 皆で会計を済ませて、ひとまず駅に向かった。 そうやって改札に向かう途中、灯里が急に立ち止まった。 「どうしたの?」 すると、灯里はこんなことを言い出した。 「若菜、スマホ忘れたんじゃない?」 「えっ?うそ!?」 私は自分の鞄を探し始めると、灯里は私の腕を掴んで、私にだけ聞こえるように小さな声で言った。 「後は二人でうまくやりなよ?」 小さくウィンクした彼女は私の腕を放すと駅へと戻って行った。 みんなが心配そうに此方を振り向く中、彼女と入れ替わるように戻って来たのは坂井くんだった。 灯里にはかられた私は仕方なく、鞄に腕を突っ込んだまま立ち尽くしていた。
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