プロポーズ

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「俺はいいよ。そう言うのはもういい」 「なんで?今日のあの子そうなんだろ?以前にお前が探してた写真の子」 宏光は驚いたように佑月を見た。 彼は宏光と同じように炭酸水を開けると瓶ごと口付けた。 「お前、あの写真見たのか?」 「あぁ」 佑月は素っ気なくそう返した。 「なんで勝手に見るんだよ。俺の部屋勝手に探るなよ」 「ごめん。でも、お前ずっと初音さん一筋だったから意外だったんだよ、あんな大事そうに写真とってる子居たんだなって」 「あれ、そうだよね?若菜ちゃんってだいぶ下に見えたけれど学生時代の幼馴染みかなんか?」 「違うよ」 「じゃあ、なんで?初恋とかかなって思ったけど違うの?」 佑月は遠慮なかった。 宏光は戸惑った。佑月がすっかり佑介に戻っていたのも気付いてはいたが、彼に今更本心を偽る余裕もなかった。 「俺、心配なんだよね。端から見れば奥さんあんな亡くした方したお前にさ、疑いの目向けてる奴はいるしさ、なんだかんだ宏光目立つから嫉妬で悪い噂立てられたりもしてるみたいだけど、いい加減、自分のために生きたっていいと思うよ」 「初音の気持ちなんて、俺には分からない。許されたいとかそう言う気持ちもない。でも、俺がどう生きようと、もう誰かを愛せる自信はないし、愛される資格もない」 宏光はそう言うと、意気消沈したかのようにその場に座り込んだ。 「そんなはずない。お前はもっと愛されていいはずだよ。俺は少なくともそう思う」 佑月はしゃがむと、力なく座りこんだ宏光の右手を手にとった。 宏光は目線こそ合わせなかったが、ボソッと呟いた。 「まぁ、あの子は幸運の女神ではあるかもな」 佑月は尋ねた。 「幸運の女神?」 宏光は頷いた。 「どういう意味?」 再び佑月が尋ねると、宏光は弱々しく答えた。 「俺が変えられなかった運命を彼女なら変えられる気がする」 「何か企んでるのか?」 宏光は意味ありげに口元を吊り上げると何も答えなかった。
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