溺愛リベンジャーズ 〜アラサー派遣女子の華麗なる転職劇〜

初デート

そうこう悩んでいるうちにある人から電話があった。

ああ、現実は此方だ。

ちょっと胡散臭そうな薄笑みを浮かべて、タブレットを操作している中野さんは以前登録したの派遣会社の人間だった。

悪い人じゃない。多分

派遣会社は登録しても担当者次第で印象が変わるが、この人自身はそう悪い人ではない。

ただ、紹介してくれる案件はそう大きな会社ではないためリスクもあるのは事実だ。大きな会社で働けていたのは２7歳までだった。その後、事務の派遣と言えば、中小の古い体質の会社や事務になんでも押し付けるベンチャーとも呼べない弱小企業ばかりだ。

だから、今回もそうなんだろうとは思う。これで転職は4回目だった。

２つ前の会社は大手の事務だった。しかし、職場環境は歴代最悪だった。おまけに嫌味ったらしい正社員の上司や先輩相手に擦り切れてしまっていた。もし、あの時我慢してれば、お金だけはなんとかなったのかも知れない。

だから、自分から辞めてしまって勿体なかったが、あのまま働き続けるのと、今とどっちが幸せか？

私は今も分からない

次に務めた会社は小さな会社で従業員は20名程度。教育系のITシステムを開発してるプログラマーと営業、事務は4人だけだった。経理も人事も何もかも兼任してるような業務で、新卒で雇った子はなかなか根付かない上に、営業にタチの悪い不倫常習者がいて、危うく騙されそうになった。

そんな感じで恋愛にも仕事にも積極的になれない日々が続いてもう4年近く。

すっかり何かに希望を抱くことも夢を見ることもなくなっていた。