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契約と愛の間で
いよいよ
今日は約束したパーティーの日だった。
宏光と若菜
2人の契約婚の一番の目的。
夏に出会って4か月。
本当に色んなことがあって、二人の出会いをきっかけに大きく流れが変わったのを、彼らはそれぞれ実感しながら、いざパーティー会場へと足を踏み入れた。
若菜にとっては、まるで舞踏会に来たシンデレラのようだった。
佑介のドレスサロンでメイクもヘアも衣装も着替えて会場となるホールに着いたのは午後5時40分だった。
隣には晴れやかな笑顔の宏光がいることに安心しつつも、若菜はまだ言葉には出来ないだけで納得しきれてはいない自身にも気付いていた。
宏光と会えない日々が続き、つわりにも悩まされていた若菜が穏やかさを取り戻したのは、つい2日前だった。
宏光が若菜の前に再び現れたのは、木曜日のことだった。
仕事も恋愛も中途半端な形で失い、不安と苦悩でどん底にいた時、尋ねてきたのは璋子だった。
璋子は、若菜に詳しい事情は後で話すからと、とにかく自宅を出るように指示した。
若菜は良く分からないまま、璋子の言う通りに2、3日分の宿泊の用意だけして部屋を出た。
そして、車内で衝撃の事実を聞かされた。
宏光が警察署にいて事情聴取を受けている最中に倒れてしまい入院していること。
凛の父親が逮捕され、宏光や浅井の邸宅にもマスコミ関係者が押し寄せていること。
神尾凛の行方が分からないこと。
碧音が今九州の若菜の実家にいること。
浅井電子と司エレクトロンが資本提携で合意を進めていて、2人の結婚について周知の事実となったこと。
暫く宏光や若菜の身辺には護衛が必要と判断した浅井がSPを雇ってくれ隠れ家を用意してもらえたこと。
宏光とは明日の朝退院が決まり次第そこで落ち合うことになっていること。
目まぐるしいほどの情報量に圧倒されながら若菜は璋子からの話に耳を傾けていた。
だが、若菜はその話を耳にしながら、何か運命めいたものを感じるのと同時に、どうにも嫌な予感に襲われ悪寒を覚えたのも事実だった。
結婚が周囲にも認識された
本来は喜ばしいはずなのに…
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