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面接は15分ほどだった。
まず簡単な自己紹介と志望動機を聞かれた。その後に、事業内容の紹介と業務内容を確認。
それからは、休みが休日通りにないこと。イレギュラーの業務が入ること。勤務形態についての確認が多い印象だった。
そして、最後の方であまり他の面接では聞かれないような質問を受けた。
「この度は弊社の面接にお越しいただいてありがとうございました。何か不明な点や質問はございますか?」
「いいえ、今のところは大丈夫です」
「では、最後に今ご自身がもっとも気になることや関心があるけど向き合って来なかったことがあれば、教えていただけたらと思います」
「今関心があることですか?」
「はい」
私はちょっと考えてしまった。
なんかこういう質問ってなんて答えるのが正解か分からない。それに、困ったことに脳裏に写ったのは浅井さんだったから。
「あ、深いことじゃなくて、趣味でもなんでも結構ですよ」
社長は考え込んだ私に、柔らかい口調でそう宥めるように付け加えた。
隣にいた青年も頷いていた。
しかし、なんと答えるべきなんだろう?
恋愛や結婚
そう平たく言ってしまうのがいいのか?
あまりに露骨で仕事の面接では相応しいとは言い難いだろうか?
私は少し悩んだ末にこう答えた。
「ある人との関係性です」
向こうは淡々とこう聞き返してきた。
「その人はあなたにとって大事な人なんですか?」
私は首を横に振った。
「それが分からないんです。でも、気がかりなのは確かです」
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