溺愛リベンジャーズ 〜アラサー派遣女子の華麗なる転職劇〜

初デート

私が店前に出ると、久野さんの車は既に着いていた。

「早く、お乗り下さい」

私は頷くと直ぐに車に乗った。

車のドアを閉めると彼女は直ぐに車を発進させた。

もうすぐ7時。

予約している店は、どうやらホテルの最上階らしかった。

新宿にある、フランス料理と最上階にある庭園が人気のデートスポットになっているJardin haut 新宿タワーホテル

le reflet はその有名なフランス料理店だった。

人気のレストランらしいが、私は恋愛にも縁遠くなってしまい、またコース料理で安くても8000円からのお店というのは、余程の勇気か
ボーナスでもないと意識が向かない場所だった。

綺麗なドレスにヘアサロンまで用意して貰って、最後は高級レストランで食事まで用意してくれている。

そんな上手い話があるんだろうか？

行ったら、お金請求されたりしないだろうか？

いや、多分そんなことする人ではない気がするけれど、やっぱりあまりに慣れないことばかりで既に気疲れしてしまっていた。

外の景色はどんどん都心に近づいているようで、ビルの明かりや人の賑わいで夜の東京を堪能出来た。

そう、今晩だけだというのに

その今晩だけでも楽しむ勇気も持てないなんて

私はシンデレラにすらなれそうになかった。