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レストランがある階に降りていくと、私は浅井さんの姿を探した。
彼は背は高いなので、まあ目立つはずだろうと思ったが、そもそもレストランの入り口にはあまり人が居なかった。
カバンからスマホを取り出して、画面で時間を確認すると、7時28分だった。
私はレストランの入り口から少し離れた場所で彼を待つことにした。
5分…10分…
約束の時間はとっくに過ぎてしまっていた。
度々レストランに入る人や出て行く人を見ながら、私は少し不安になり始めた。
このまま、彼は来ないかも…
そう思って、ふと大階段を見上げると、駆け足で階段を降りてくる男性の姿が見えた。
上から降り注ぐ照明が眩しくて、顔をはっきりと確認できなかったが、ちょっと息を上げてやって来たその人は、間違いなく浅井さんだった。
「ごめん、ちょっと会議長引いちゃって、ほんとごめん」
「いえ、此方こそ色々準備していただき、忙しいのに誘っていただきありがとうございます」
私は頭を下げた。
「あぁ、こっちが誘ったんだしそれは気にしないで」
浅井さんはそう言うと、相変わらずのオールバッグの髪を掻き上げた。
走ったんだろうか?若干乱れてる気もしたが、それがいつもの雰囲気とは少し違っていて色っぽく見えた。
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